おかきズム

元ニコ動実況者(断じて有名でない)が、社会人になってブログ。グッズレビュー、アート、映画書評を書いてます。

2023年の抱負:ゆるく続ける

特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと

 

みなさん、明けましておめでとうございます。おかきです。

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今年も2023年になってしまいました。
半年くらいブログが休止してしまいましたが、毎年恒例の「昨年の反省+今年の抱負」記事だけは出そうかなと思います。

1. 2022年の反省

今年のブログ投稿数は、脅威の7記事のみ。
いや〜これはひどい


結局、2022年年始はコロナ禍真っ最中。それに加えてハネムーン準備とかやってると、アート展に行く機会が本当に減っちゃいました。読書をする時間はたんまりありましたが、そもそもアートの刺激を直接受ける美術館訪問の機会がないと、中々ブログ更新も難しい訳です。

 

あと、仕事と私生活のバランスを考えさせる一年でした。

まあ言ってしまうと、いい年齢な訳ですよ。

社会人になって10年弱。上司や、上司のそのまた上司からも「おかきくんは、もうxx才かね」とか「家庭も持ったし、いよいよ前にでなあかんな!」とか色々言われる訳です。期待される事自体はいい事なんですが、恐らく土日に入っても勉強とかしないといけないなー、という感じです。

 

www.okakism.com

 

2. 2023年の抱負

今年の抱負は「ゆるく続けるでいこうと思います。


と、言いますのも、2023年も前述の通り、仕事・家庭ともに忙しくなってきそうです。

 

かと言って、ブログは消したくはない。

前年にも言いましたが、はてブロは、家庭でもない仕事でもない第三の場所です。学生さんでいくと「部活」みたいなもんです。あーだこーだあっても汗を流せる「青春」なんですよ。かといってアートの話を語り合うなんて中々できないので、自己発信の場として残しておきたい訳なんです。。

 

 

というわけで今後はこんな感じで行こうと思います。

 

  • 形式ばらない。ゆったり構える。一見雑な随筆っぽい形式が増えるかもしれません。
  • 書籍系はどんどん投稿していく。
  • アート展レビューは行ければでOK(嫁ほったらかしで行けないので頻度減少中)
  • というか、アート系以外もどんどん発信していく

 

こんなブログですが、今後もアート系を中心に発信していこうと思いますので、今年も是非是非よろしくお願いします。

ではでは。

2023.1.4 1PM

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【アートの旅#7】まさに西洋絵画の歴史がここに!メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年

どうも、おかきです。

今回は、大阪市立美術館で2021/11/13~2022/1/16に開催されたメトロポリタン展について取り上げようと思います。様々な西洋絵画が取り上げられたこの展示会、コロナ禍ではありましたが、以前から盛大に広告で盛り上がっていたので、見ることにしました。少し古いですが、東京でも今月末(2022/5)まで開催されている美術館展なので、このタイミングで取り上げたいと思います。

 

1. だいたいこんな展示会

メトロポリタン美術館(通称MET)とは、米国ニューヨークのど真ん中にある、150年前から続く由緒正しき美術館です。欧米に限らず、世界各地のアート作品をこれでもかと集めた、まさにアメリカのルーブル実際世界の美術館・博物館の来訪者数ランキング(コロナ前2019年)だと、ルーブル故宮、ヴァチカンに次ぐ第4位です。

この展示会は、そんなMETの名に恥じない名画たちばかり。17部門(!)のうちの西洋絵画部門から65点を展示。中世・ルネサンスから19世紀印象派までの西欧絵画の歴史を見ることができます。カラヴァッジョ、フェルメール、ベラスケス、ゴッホ、モネ、、誰もが耳にしたことのある画家たちの名画。それらを一望することができるのが今回の展示会になります。

なお、この美術館MET。開館から2018年になるまで、入館料は「希望額」とされていました。来館者に金額を委ねるなんてなかなか太っ腹ですね。推奨額みたいなのはあったらしいのですが、平均支払額が年々低下。さらに、オピオイド問題から端を発するサックラー家からの寄付金拒否、コロナ禍も追い討ちをかけたため、恐らく復活はないでしょう。

 

met.exhn.jp

 

2. 総評:「近代まで」の西洋絵画史が好きな人には是非

総評でいくと、さすが「メトロポリタン」の名を冠するだけの圧巻なボリューム。
繰り返しになりますが、ルネサンスギリシア・ローマ的世界、写実主義ロココ美術、印象派など、西洋絵画の歴史を見渡すことができます。アートの勉強がてら、しょっちゅう西洋絵画の歴史の流れを見ることになりますが、いつ見ても面白い。それを実際の作品を通じて目の当たりにできますから、これほどの贅沢はありません。

驚くべきはどの作品も有名な画家たちであること。もし仮に国内美術館の収蔵作品だけで、仮にやろうとすると豪華揃い踏みとはならないでしょう。もし興味のある方は、是非行ってみるべきだと思います。もちろん、中には私の知らない画家も出てきたので、次章で紹介したいと思います。

 

強いて言えばですが、有名美術館の名前を冠したブロックバスター展示会かなとは思ってます。
METに限らず、何年かに一回有名美術館の名前を冠した企画展。圧倒的ボリュームと質でそれはそれで楽しめるのですが、いまいちテーマ性がない。
個人的には、ピンポイントで特定の人物や時代を掘り下げた方がまだいいのではないかな〜と思います。(まあそれを知りつつ行ったのですが)ただそれだと、美術館にあまり足を運ばない人は敬遠してしまうので、こういった展示会も必要なのかもしれません。


ただ繰り返しになりますが、最初に述べた圧倒的ボリューム、これは否定しようがない。
1800円と割高ではあるものの、見応えは十分にあると思います。



3. 注目する作品

さて、ここからは私が気に入った作品たちです。
現代アート主義の私なので、どちらかというと近代寄りなのは、ご容赦いただきたい。

 

  • エル・グレコ『羊飼いの礼拝』(1605~1610年頃)
    名匠エル・グレコは知ってますが、実物絵画を見るのは初めてでした。暗闇から光が浮かび上がるような、ドラマティックな表現は、強烈なインパクトがあります。実物を見ると、筆致が思っていた以上にかなり荒々しく、又印象が新たに変わりました。

  • クロード・モネ『睡蓮』(1916~1919)
    誰もが知っているモネの『睡蓮』。私が持っているイメージは「緑」「ピンク」のイメージだったのですが、METの『睡蓮』は、一面の群青色。もはや陰鬱な抽象絵画とも思わせる圧倒的な青でした。絵画自体のサイズ感も相まって、まさに圧巻です。

  • マリー・ドニーズ・ヴィレール『マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ(1868没)』(1801)
    今回の展示会では、個人的一番お気に入りの絵画。どこかの一室でキャンバスを持った端正な白人女性が、こちらを見ている写実的な肖像画。巨匠ダヴィッドの物だと考えられていたようですが、この女性画家であることが後から分かったようです。正直この女性画家のことは知らなかったのですが、逆光を反映した色彩、リアリティのある造形、何より凛とした眼差しは、とても印象に残りました。帰ってからネットの画像を見返したのですが、液晶画面越しでは、感じられず。又いつか再会を期待したいと思います。

 

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今回はこれで以上です。

様々な名画と出会えるとてもいい機会になりました。逆に「よくあるブロックバスター展」というところは否めませんが、やはり選手層の厚さのなせる業なのでしょうか、マリー・ドニーズ・ヴィレールのような新しい出会いもありました。またいつか会えることを期待したいと思います。

ではでは。

 

2022.5.29 Sun 10AM

 

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【おかきズム書評#8】 現代を生きるアーティストが語る覚悟とは?「芸術企業論」村上隆

どうも、おかきです。

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今回ですが、世界的な日本人アーティスト、村上隆による著書を取り上げたいと思います。コロナ禍など情勢が慌ただしくなるこのご時世。アートも漏れなく荒波に揉まれています。

この著書は2006年の出版とかなり古めですが、今でも十分通じるところはあると思います。この記事が一つの参考になればと思います。

 

1. だいたいこんな本

まず著者ですが、日本が誇る現代アーティスト村上隆。ベルサイユ宮殿など各有名スポットで個展を開き、大抵の本であれば名前は見ます。さらには、所属する最高峰のギャラリー、ガゴシアンのニューヨーク拠点の入口には、20名のアーティストとして顔写真が載せられており(2022年4月時点)、押しも押されぬ超有名アーティストです。

著書の内容は、アーティストとして成功するためには何が必要かということ。ここでは、「世界標準のルール」=欧米アート史を理解した戦略が必要だとしています。よく芸術教育で推奨される「独自性」だけでは、現実世界でバッサリ切り捨てられてしまう。欧米アート史の文脈を踏まえた上での作品の構想・発想、自己ブランディング、そして血を吐くような地道な努力と執念が必要になるとしています。

なお、彼が生み出したスタイル、スーパーフラットについては言及少なめ、村上隆をあまり知らない人でも読むことは可能です。著書冒頭に写真も載っているので、「あ!この人ね」となると思います。

 

2. 総評:アート鑑賞の指針となる本

読んでおくべき本かと思います。現代アート、いや広くアートを本当の意味で知り、味わい、解釈する、そういったところでこの本は、アート鑑賞者にとっての「指針」となりうると思います。現に私の中では、一つの指針となっており、何度か読んでいます。


アートとなると、どこか感覚的なところだけで捉えようとしてしまいがちです。まだ私のアートラバー歴キャリアが浅いだけだと思いますが、造形・色彩など表層にばかり囚われやすい。そんな自分に対し、「歴史の文脈で理解する」という村上氏の強い主張は、重く響きました。実際頭の中で「感覚」と「知性」両方の間を行ったり来たりするものだと思います。ただそれを堂々と語るにしては、まだまだ知識と経験に厚みが必要だと、毎回この本を読む度に思わされます。

終始平易な文体で書かれており、読みやすい部類に入ると思います。アートの歴史は、デュシャンなど多少は知っておくべきですが、余程気になるのならスマホで検索すれば済むレベル。現代アート業界等もついでに学べますし、誰にでもおすすめできる書籍です。

 

3. 世界標準と日本アート界への怒り、そしてアーティストとしての矜持

書籍を通じてですが、日本アートの現状への怒りは凄まじいものです。

芸術大学や美術館の多さ、経済的豊かさなど、アートへのアクセスは世界随一を誇る日本ですが、技術や独創性ばかり重視する旧態依然のアートをキッパリ断罪、「発想」をより重視すべきだとした上で、ホンモノのアートは何かを伝えます。

すばらしい芸術は、ジャンルを超えて思想にも革命を起こす...
(『芸術起業論』, p76)

 

ただ物珍しいだけではない。真に評価されるべきアートは、普遍的に理解されうる歴史の文脈を踏まえ、作品とその凄まじい影響力は「歴史」に残る。(まさしくデュシャンのように)今や多元・多様なアート業界で中々理解の難しいところですが、著書で引き合いに出した表現を借りると「形の珍しいサボテンは育たない」ということなのでしょう。

 


あと全体を通じて分かるのは、執念が凄まじい。時間、労力、投資もとにかく惜しまない、ある種の起業家、ある種の努力家的な側面が見えました。

特にこのあたり、村上のもう一つの著書「芸術闘争論」でよく出てくるのですが、いかに作品に要素を凝縮するか、が大事としています。アートの顧客は、社会のトップエリートたち。要はスノビズムな世界です。そんな彼らの自尊心を満たすように、いかに作品に歴史の引用、表現・配置のオマージュなどを重ね、作品のレイヤーを積み上げるかが重要、、ということです。ハイアートな文脈の世界とは一見縁遠い、世界標準を踏まえた戦略の上での泥臭い努力・執念こそが、作品を「歴史に残るアート」を変えるのです。

 

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今回はこれで以上です。

この本は、日本のアートの現状を憂いて、変革しようと書いた著書とのことですが、最近インタビューによると、あまり変わらなかったと語っています。村上は、今後も雑誌やSNSでは発言するでしょうが、日本向けの書籍はもう作られないかもしれません。

なお、古いと言うこともあって、Kindleだと600円くらいで買えてしまいます。ただコスパは極めて高いので是非トライしてもらえればと思います。

ではでは。

 

引用文献:

 

2022.5.4 Wed 4PM

 

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ユニクロのアートTシャツを買ってみた。アートにかける衣類メーカー

どうも、おかきです。

 

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今日は、久々にゆる〜い記事になります。


みなさんご存じユニクロで、アート作品をプリントしたおしゃれなTシャツが売られていました。何年か前から定期的にやっていたのは知っていましたが、ついつい今年は手をつけてしまいました。

今日はその報告記事です。

 

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1. 購入したアートなTシャツたち

ユニクロは、グラフィックデザインTシャツを『UT』と名づけて数多く発売しています。全てかどうか?まではうろ覚えですが、だいたい1500円程度。ユニクロファストファッション精神そのままで、アート作品を自分のファッションに取り込むことができます。


それでは、早速購入したTシャツを早速紹介したい。

 

1番手は、KAWSのコンパニオンTシャツ

 

言わずもがな、超有名ポップ・アーティストのKAWS
眼鏡がバッテンの定番ドクロ君を堂々とプリントアウトしたTシャツ。可愛らしいTシャツではあるが、ただの白シャツを着るよりどうせならアートなやつにしようという、低レベルファッション思考に基づき購入。

ちなみに、この定番キャラには名前があり、Companion(コンパニオン)と言うらしい。アートブロガーを勝手に自称している自分だが、恥ずかしながら知らなかった。

 

 

 

2番手は、ピエト・モンドリアンの『赤と青のコンポジション No.II』。
私の敬愛するモンドリアン先生の作品が胸に刻まれている。

 

これは買うしかない。

 

ただ、私の個人的な好み抜きで買う人もいるのではないだろうか?
白地に「黒の直線」と「赤・青の四角形」しか描かれていないが、ミニマリスト的な美感は現代人にも刺さると思う。(シャツを買うかは別として)

 

最後3番手は、アンディ・ウォーホルの『フラワー』。

現代アート好きといったら大抵みんな大好きウォーホル。(逝去した35年を”現代”というのもどうかと思うが)彼の作品をモチーフにしたTシャツはいくつもあるが、これをチョイスすることにした。

このシャツの魅力は、やはりなんと言ってもシックな黒で輝く左胸の作品ではなかろうか。きつめの明るいオレンジとピンクが、いい感じに大人っぽい色気を放っている。ユニクロのアートTシャツは今まで何度か見たのだが、個人的にはこれがナンバーワン。私もそんな色気に誘われて買うことにした。

なお写真に写ってはいないが、背面にはデカデカとサイン調の「Andy Warhol」と書かれている。自分は何らかの上着を着ていくが、一応買う前に確認することをおすすめ。

 

 

 

2. ユニクロ x アートのコラボについて 

ところで、ユニクロというと何を思い浮かべるでしょうか?

安価な衣類を提供してくれる小売店ヒートテック、エアリズムなど機能性衣類を作っている衣類メーカー。柳井会長が作った日本の大企業。そんなところでしょうか。


ただ、ユニクロが、世界中の美術館とパートナーシップを締結しているということを知っているでしょうか?
実は、数々の美術館と協力しており、その中にはルーヴルなど、誰もが知っているような美術館も入っています。

 

<ユニクロ:パートナーシップ締結>
※2022/4/23現在時点情報

 

Tシャツにアート作品をプリントして売りたいだけでは?と思われるかもしれませんが、実はユニクロは、精力的にアート事業に関わっています。なんと過去にユニクロの製品でロンドン展示会を開催したことがあります。2019年「サマセットハウス(Somerset House)」で開催した展示会の名前は、「The Art and Science of Lifewear: New Form Follows Function」。にれん形状の青いエアリズムを多数吊り下げて、独特の空間を作り出したインスタレーションなど、展示会名にある通り、自社の工業製品でアート作品を作り上げています。

 

www.uniqlo.com

 

また、世界的権威MoMA(ニューヨーク近代美術館)のチャンネルの中の動画で、『Uniqlo Art Speak』という動画があります。こちらは展示会と違い自社製品ではなく、プロの人がアート作品を紹介する動画で、ユニクロは協賛社として参加しています。ひと月に数回と、そこそこかなりの頻度でアップロードされる動画で、中々の入れ込みようです。

 

www.youtube.com

 

 

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今回は、これで以上です。

いつもはアート展のレビューなり、書籍紹介ばっかりですが、たまにはこんなゆるっとした記事もいいですね。アートのための財団を抱えるカルティエと比べては小さいかもしれませんが、ユニクロの今後のアート事業に今後も期待です。

あと、ユニクロというと期間誌『Lifewear』がとても好きですね。無料で配っているとも思えない異常なクォリティーの高さ。ついつい店舗で見つけると手にとってしまいますね。皆さんも服だけでなく、本も見てもらえればなと思います。彼らの衣類に対する意気込みが感じられます。

ではでは。

 

2022.4.24 Sun 7PM

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【Art News】 大阪の中之島美術館が開館!モディリアーニの作品が早く見たい!

どうも、おかきです。

 

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今週の水曜日、2022年2月2日に大阪の中之島美術館が開館しました。

この令和の時代に、歴史的な近現代アーティストの作品を多く収蔵する新設美術館として、多くの注目を集めています。なんと美術館の場所は、私がよく通う「国立国際美術館」のすぐ隣。私も是非とも馳せ参じたいところではありますが、オミクロンさんが蔓延中なので断念。というわけで、鬱憤を晴らしつつも、今回は開館のニュースを取り上げたいと思います。

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1. 中之島美術館が開館!

大阪市のビジネス街を少し離れたところ。中之島美術館が開館しました。

この美術館は、近現代にフォーカスしており、戦前戦後の国内外アーティストの絵画を、6000点以上も収蔵しています。海外で言うと、モディリアーニフランク・ステラなど大御所、国内は、佐伯佑三、具体派を率いた吉原次良の作品を多数収蔵しています。

美術館の構想発端は、佐伯祐三の作品寄贈ですが、イケイケバブル時代に大阪市がかき集めた沢山の絵画を目の当たりにすることができます。そのため海外の大御所ばかり目に行ってしまいますが、運営方針の一つとして、大阪地元のアーティストの作品も収蔵しており、それらを展示し広めたいとしています。

なお、公立の美術館かと思ってましたが、大阪の橋本知事が、運営に民間を交えることを提案したため、民間事業者運営するコンセッション方式の美術館です。

 

2. この美術館の何が凄いか

粗方紹介しましたが、この美術館のすごいところを2点あげたいと思います。

 

1点目は、その収蔵作品です。その筆頭は、やはりモディリアーニ(1884~1920)。当時欧米を席巻したキュビズムや抽象表現とは異なる「特徴的」な表現で、女性裸婦画をひたすら描いた早逝の美術家です。アーモンド型ののっぺりした女性を描くので、「特徴的」的とした言いようがないのですが、死後その作品は高く評価されています。大阪市は、彼の作品『髪をほどいた横たわる裸婦(1917)』をなんと18億円でオークションで競り落としました。バブルってすごい。彼の作品が一度オークションに出れば、落札価格は数十億円になるのがザラです。そんな作品が国内の新設美術館の(レンタルではなく)「収蔵品」として見られることは、今後あるかどうか。落札価格で作品を評価するつもりはありませんが、もはや一大ニュースです。是非見にいって欲しいです。(無粋ですが、価格は右肩上がりなので、大阪市も良い投資をしたのかもしれませんね。)

このモディリアーニの変わった表現技法の女性達に魅了された人が、世界各地にいますが、私も一人です。図書館で彼の画集を借りたこともあり、この美術館がモディリアーニの作品を収蔵しているのは、以前より知ってました。

他にも、佐伯佑三、吉原治良など国内アーティストの作品も多数収蔵しています。ただ、正直に言うと、私もあまり知識はありません。後者は、具体はの人というくらいの知識しかありません。(実は、具体美術協会中之島の地だとか) いずれこの美術館に訪れる予定なので、その時に色々と学ばせてもらおうかなと思います。新しい世界が広がるというのも、また美術館の楽しみですからね。

 

3. 苦節約40年越しの開館

あと、もう一つの理由は、この美術館の構想から約40年かかったことです。

先にほぼネタバレしてしまいましたが、バブル前の1983年に大阪市政の一事業として構想が始まりました。ある時期は1年に数十億も投資して、モディリアーニ含めた美術品の収集に積極的に動いていたようです。そんな精力的な収集活動もあり、総額経費なんと155億円。

が、そのあとバブル崩壊。日本経済は大きく傾き、低迷の時代を迎えます。また、中之島美術館構想を主導した大阪市も、財政難に長く苦しみました。あの橋本知事体制下では、計画に見直しも入り、計画が大きく後退しました。しかし、民間事業者による運営など、いくつかの変更を経て、ようやく2019年に着工、2022年2月2日に開館の日を迎えました。

 

バブル崩壊と失われた30年によって、数々の文化事業が頓挫しましたが、この美術館は生き延びることできました。特にあの橋本知事体制下で、この構想が生き延びたことがすごいんじゃないでしょうか。当時の状況もある程度知ってますが、作品を売却してしまえとはならなかったのでしょうか。。本当に「粘り強さ」にあっぱれです。早速、開館からコロナという難敵が立ち塞がっているなど、前途多難な様相を呈していますが、是非頑張ってもらいたいものです。

 

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今回は、これで以上です。

コロナが蔓延しているので、今指を咥えながらブログを書くことしかできませんが、沈静化したら、すぐに行こうと思います。数々の素晴らしい作品を是非堪能できれば!と思っております。そしたらまたブログに書きますね。

ではでは。

 

2022.2.6 Sun 9PM

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私推しの現代アート展!高松コンテンポラリーアート・アニュアルがマジで面白いワケ(高松市美術館)

特別お題「わたしの推し

 

どうも、おかきです。

 

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今までアート展・アート系の書籍を色々紹介してきましたが、あまり自分の好みについては触れてきませんでした。現代アート好きなのは事実ですが、それはジャンルの話。具体的な作品、アーティストところまでは今日の今日まで語ってきませんでした。

というわけで、今回「推し」のアート展について語っていきたいと思います。

 

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1. 高松コンテンポラリー・アートアニュアルとは何か?

私の「推し」のアート展は、高松コンテンポラリー・アートアニュアルです。
知らなくて当然だと思いますが、香川県高松市美術館による、年1度開催される現代アーティスト企画展です。

美術館の学芸員の方が企画、独創性・将来性のある優れた若手アート作家を5名ほどキュレートし、各回のテーマに沿った展示が行われています。現代アートというと尖った風刺的なイメージを持つ人もいますが、社会派といっても、時間・社会といった思弁的な内容が多め。

あと若手と書きましたが、アーティストの年齢層はだいたい40歳前後。国内外の企画展への参加、賞をもらうなど、しっかりと実績を積み上げたの卵達です。

 

2. これからの現代アーティスト:社会とアート

ここから個人的な感想です。


もう前置きから察せられると思いますが、私はとてもこのアート展が大好きです。まだ一昨年の第9回目から見ていないにわかではありますが、企画展実施日は事前チェック、記念にカタログ冊子も毎回購入してます。

 

このアート展を推す理由ですが、とにかく企画展のクォリティーが極めて高いからです。

5名のアーティストそれぞれの考えるテーマ・表現が特徴的で非常に面白いです。特に、現代アート的な深くて色濃い「コンセプト」に感激します。「コンセプト」というと、企画展のテーマというイメージがありますが、割り当てられたエリアで、各々のアーティストたちの表現・世界観を展開されており、楽しむことができます。それも、若手とはいえ、実績のあるアーティスト達が突き詰めて自信を持って提示する「コンセプト」です。各エリアにある複数の作品を通じて見せてくれるので、鑑賞者も容易にコンセプトに入り込んでいけます。


偏に知識不足だからかもしれませんが、正直参加アーティストの名前や作品も見たこと無い方々ばかり。ただ、かえって先入観なく、新鮮な気持ちで作品を鑑賞できるのがいいです。

参考までに過去2回の展示会で面白かったアーティストをそれぞれ挙げたいと思います。深く立ち入ると長々と語ってしまいそうなので、サクッと紹介し、またいつかじっくり紹介しようと思います。

  • 加藤翼(2019年 vol.8 「社会を解剖する」)※vol.0からカウントするので第9回目

     

    簡素な木製やぐらなどを、地域住民と一緒にヒモで引き起こしては倒す「引き起こし」プロジェクトを世界各地で行なっているアーティスト。一見無意味に見えますが、祭事的な地域と社会とのつながりを可視化する面白い展示でした。(またいつか紹介したいですね)
  • 保井智貴(2020年 vol.9 「時どきどき想像」)

    乾漆・螺鈿など伝統技法と、3Dプリンターを使って人物像を作成、人と自然が相互に創り出す見えない「空気」を演出しているアーティスト。テーマも作成手法も面白いで、面白いと思いました。

 

この展示会の良さですが、これにはキュレーターとしてアーティストをうまく起用している美術館の学芸員の方のご尽力もあると思います。企画展としてのテーマを据えつつも、展示の仕方はミニマル。各々のアーティストの良さを無くさず、表現・世界観に没入できるような工夫されています。

といった感じで、とにかく魅力的なアート展になります。

正直料金800円はさすがに安すぎます。こんな良い展示会は今後ずっと続いてほしいと思い、「お布施」として毎回カタログ冊子を買うことにしたいと思います。

 

 

3. 今年2022年もやります!が、しかし。

私おすすめの高松コンテンポラリーアート・アニュアルですが、今年2022年は第11回目が開催されます!なんと開催日は、2022年2月11日〜3月21日ともうすぐそこです。

 

副題は「ここに境界線はない。/?」。前衛的な表現を追求し、既成概念を覆すようなアートが続々登場するようです。アーティストは、ウチダリナ、久保寛子、潘逸舟、ユアサエボシ、森栄喜(+ばばまさみ)と、正直知識不足なので私は存じ上げない方々ですが、とても面白そうです。解説文を見た限りですが、音響作品、パフォーマンスアートがとても面白そうです。

 

www.city.takamatsu.kagawa.jp


で、す、が。周知の通り、オミクロン株の感染が猛威を奮っております。ついに香川県にまん延防止が出てしまい、なんとも微妙な状況です。私も展示会に行こうかは少し迷っており、初日のパネルディスカッションは諦めて、落ち着いてから3月くらいに行こうかと思います。ヤキモキした状況下ではアートは楽しめませんのでね。

 

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今回は、これで以上です。

ぜひ今回紹介した高松コンテンポラリーアート・アニュアルは行ってみてください。断っておきますが、ステマではありません。心の底から「イイ!」と思うから、紹介しました。「アートの旅」シリーズでも過去の展示会を紹介できたらとも思います。

あと、この企画展以外でも、高松市美術館で展示される現代アート展は基本面白いです。どれも刺激に溢れる展示ばかりなので、ぜひ足を運んでみてください。

ではでは。

 

2022.1.30 Sun 10PM

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アート漫談#4 : アートブロガーの私が、アートにハマる個人的な理由10選

はてなブログ10周年特別お題「私が◯◯にハマる10の理由


どうも、おかきです。

 

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アートブロガーとして一念発起して、軽く2年が経ちました。まだまだですが、これからもどんどん記事を投稿していきたいと思います。

今回は、原点回帰ということで、私がアートにはまった理由を10個挙げたいと思います。なぜ10なのかというと、このブログを投稿しているはてなブログ様が10周年なので、強制的に「10」になりました。ただ、今までの自分を振り返る厳選してみましたので、ぜひ読んでみてください。

 

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1. 作品と向き合う時間が好き

情報社会のこの時代ですが、作品とひたすら向き合う時間ほど贅沢な時間はないと思います。作品上の表現を嗜んだり、これはどんな解釈をするのか、そんなことを考えながら、ただひたすらにその時間を過ごす、そんな悠々自適な時間が好きです。恐らくですが、同じアートラバーであれば、共感してもらえるのではないのでしょうか。気に入った作品とかだと、つい何十分も眺めているときもありますね(笑)。

2. 五感で瞬間的に鑑賞できる

アート作品の特徴一つとして、行けばすぐに鑑賞できます。
知識はある程度必要にしても、手ぶらで鑑賞できる「自由さ」があります。

映画、読書なども好きですが、人物設定や世界観などの前提を理解する必要があり、あまりにも時間をとられすぎてしまいます。確かにアートにも、映像、パフォーマンスアートなどがありますが、見る側が途中でその場から立ち去る自由もあります。特に大きなアート展とかになると、とりあえず一通り見てから、本当に気に入った作品に時間を費やすよう心がけています。

3. 作品が多種多様

作品の圧倒的バラエティーは、見る者を飽きさせることはありません。多種多様な表現方法、材質、また絵画以外にも、彫刻・インスタレーション・映像など、上げ始めればキリがありません。

特に現代アート。「現代アートなんて意味が分からない」と言われますが、私もよく分かりません。恐らくアーティストか、関係者が「これがアートなんだ」と言い放てば、それはアートなのかもしれません。何でもありで、型にハマらない現代アートだからこそ、常に驚き・刺激を与えることができるのでしょう。そういった期待感こそが、私をアートに突き動かす源泉です。

4. プレイヤーが多い

アート作品は勿論ですが、それを作成するアーティストの数も膨大です。

スターダムから日の目を見ないアマチュアまで、有象無象含め沢山います。そして、アーティストの数だけ人生があり、ストーリーがある。そこから生まれる作品も多種多様、という訳です。少々しつこいかもしれませんが、この無尽蔵の"選手"層こそが、アート界の強みです。

5. 断片的であること

何でもありのアートですが、例外なくその表現と世界観を「一つの作品」の枠に収める必要があります。これは、先に述べた「すぐに鑑賞できる」ことも相まってですが、作品を相対化し評価・比較しやすくなるので、アート作品・アーティストをより重層的に理解することを可能にします。

アーティスト毎にストーリーがあるとはいえ、複数の作品を出しています。表現・主題も様々なので、そういった違いを楽しむというのも、またひとつの楽しさです。例えばですが、ピカソの場合だと、パワフルな筆致の晩年の方が好きですね。

6. 歴史が好き

アートは、人類の歩みと不可分な存在です。なので、アートを理解することは、人類の社会・文化、そして歴史を理解することにつながると考えています。たとえ素材感剥き出しのミニマルな表現であっても、それは既存のアートに対するアヴァンギャルド的な反発いった意味合いがありました。作品の表現技法・形態に限定されず、そういった社会文化的な背景の発見も、アート鑑賞の楽しみの一つです。

7. というか美術館が好き

丁寧に選定されたアート作品、検討に検討を重ねた配置と構成、そして同じ作品を見にきているアートラバー達。ただただアートを楽しむだけの空間、それが美術館。
貴重な余暇時間を美術館で過ごすほど、贅沢なものはないと思っています。

液晶画面越しでは分からない、絵の具の重量感、筆致。。実物サイズで相対してこそ伝わるものがあります。巨大絵画を遠くから椅子で鑑賞するのは、まさに贅沢の極みです。

8. とにかくよく分からん。

ここから3つの理由は、ちょいと小難しい理由になりますが、是非お付き合いください。

2つ目の理由「五感で瞬間的に鑑賞できる」と書きましたが、アートには、それを通じて鑑賞者を考えさせる力を持ち合わせていると思います。

なぜこれを描いたのか、なぜこの構図なのか、これで何を表現・主張したいのか?、またその原因は、作家の思惑なのか、実はその解釈なのは、鑑賞者の知識不足か。色々思い巡らす必要があります。そういった謎めいた「ミステリアスさ」そのものが魅力と言えないでしょうか。
ある種の刺激・感動がきっかけで、アーティストについて調べたり、似たような作品を見るようになったり、興味が広がるワケです。

9. 考察の間口が広い(誤読の自由)

ミステリアスさに加えてですが、特に現代アートには、いかなる考察も許容してくれそうな懐の深さがあります。

高度に知的に構築されたアート業界ですが、かといって作品に対する絶対的な解釈が存在する訳でもありません。かの孝明な方が現代アートを『開かれた作品』と形容しましたが、全てではないにせよ、見る側に鑑賞体験が委ねられている訳です。アートに相対しながら、(多少の知識は要るにしても)自由に考察を深めるというのも中々乙なものです。

10. アートとは、つまり人間賛美

最後にデカい話です。
アートとは「人間性の最後のフロンティア」じゃないのかなと思う時があります。

ふと目を向ければ、経済格差や貧困、各国の政治的対立、特に昨今はグローバル化・IT革命により、世界は統合されたシステムと化し、絶え間なく飛び交う過剰な情報にさらされる、、など、中々窮屈な社会環境で日々暮らしてはいます。

アートは、そんな危機に瀕する人間性を訴えかけていると感じます。
アートとは、歌、テレビなどの安っぽいエンタメでもなく、扇情的なジャーナリズムとは違う、ハイカルチャーな文脈の上に成立したアートです。アートにしても、資本主義社会の上に成り立ってもいますし、中には「これってどうなん?」という作品があるのは事実ですが、そんなアートという特殊な舞台で活躍している人たちを、素直に応援したいと思っています。

 

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今回の記事はこれで以上です。

アート鑑賞は、本当に贅沢な余暇の過ごし方だと思います。作品とただただ相対するだけの時間。時間の流れが速く感じるこの時代だからこそ、そんな過ごし方もどうでしょうか?

ふと気になったらアート展があれば、とりあえず足を運んでみればいいのではないでしょうか?どのアート展がいいかなんて一概に言えませんし、今の私でもなんなら「博打」です。ただ、きっとアートは、あなたを快く出迎えてくれますよ。

ではでは。

2022.1.16 Sun 6PM 

 

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